「中山間地域所得向上支援事業」という補助事業を知っていますか?
これは、その名の通り「中山間地域の所得を向上する」ために作られた農水省の補助事業です。
平成28年に始まったこの事業、今までにない自由度で使える補助事業なのですが、
「どうやって利用したらいいんだろう?」「誰が利用できるんだろう?」と分からない方も多いと思います。
そこで、皆さんに代わって農水省の中山間地域の担当者に聞いてきた内容をお伝えします。

《MISO SOUP》
はじめまして!
今日は「中山間地域所得向上支援対策」について詳しく聞きに来ました。
よろしくお願いします!

《農水省 中山間地域担当者》
よろしくお願いします。
なんでも聞いてください。

ではまずはじめに、「中山間地域所得向上支援事業」はどういった補助事業なんでしょうか?

はい、「中山間地域所得向上支援事業」という名前だけではよくわかりませんよね。
「中山間地域所得向上支援事業」は、「中山間地域において、収益性の高い農産物等の生産、販売等の取組を支援し、意欲ある農業者等の所得向上を推進する」補助事業です。
所得向上というと、どのくらい向上を目指しているの?という質問が出るかと思いますが、具体的な数値で言うと、
「品質向上や高付加価値化等により、販売額を10%以上向上」「水田の畑地化等の基盤整備、生産・販売等の施設整備等により、生産・出荷コストを10%以上低減」を目標としています。
どちらかを達成し、所得の向上に繋がるような取り組みを支援する補助事業なのです。
内容は大きく分けて3つあります。
1.中山間地域所得向上推進事業
◆計画策定に係る調査・調整
◆農産物の販売戦略の策定
◆実務等における外部人 材の活用
◆マーケティング調査
◆販路拡大の取組
2.基盤整備
◆農地整備
◆水利 施設の整備
3.施設整備等
◆施設整備
◆高収益農産物の生産
◆高付加価値化・販売力強化
また、補助率は次の通りです。
《補助率》
50%〜100%補助(内容により異なります)
機械や施設などのハードは50%、ソフトは100%が目安と考えてください。


なるほど。つまり中山間地域と呼ばれる地域の生産者が、生産物を今より10%以上高く売ったり、コストを10%以上下げることで、所得を向上させようとする時に使えるのですね。
この「中山間地域」というのはどこの地域を指すのでしょうか?

中山間地域というのはその名の通り、山間地や中間地にあり、平地ではない地域になります。
法律では過疎地域、山村振興地域等、地域振興各法に指定された地域のことを言います。
農地の場所が中山間地域であればいいので、農地が中山間地域にあり、生産・販売施設が平地にある事業者も利用可能な場合があります。
今は合併して所属は「△△市」になっていても、元々「◯◯村」だったという地域は、「△△市◯◯地域」として中山間地域に当てはまることもあるので、諦めないでください。
自身の地域が当てはまるかどうかは、各地方自治体に問い合わせてみてください。

自身の市町村に問い合わせれば分かるのですね!
自分の地元が中山間地域に入って入いるのか調べてみます!
この補助事業を利用できるのは誰なんですか?

地方公共団体や、農業者団体等になります。
個人での利用はできませんのでご注意ください。

農業をしている会社や、生産物を使ってビジネスをしている団体も対象ということですね。
この補助事業を利用するにはどういうステップを踏む必要がありますか?

はい、ではどういう順序で利用するのかご説明します。
農業者団体が主体となるか、自治体が主体となるかで順序が少し異なりますが、
今回は農業者団体が主体となって利用する場合の流れを簡単にご説明します。
☆農業者団体が補助事業を利用する流れ☆
①農業者団体が収益力向上に向けた提案を市町村に行う
↓
②市町村が提案を受けて、所得向上計画を策定
↓
③市町村が都道府県庁に申請
↓
④都道府県庁が地方農政局に申請
↓
⑤都道府県に事業採択・交付決定通知がくる
↓
⑥農業者団体に助成決定、取り組み実施
↓
⑦取り組み後、助成金振込 (概算払い制度も利用可能)
↓
⑧取組完了の翌々年、事業評価
農業者団体が行うのは、①と⑥と⑦だけになります。


つまり役所に「こういうのやりたいです!」という提案をしたら、その後は取り組みができるまで役所にお任せするということですね。
難しそうに感じていましたが、意外とできそうな気がしてきました!
提案してから(①)助成されるまで(⑦)はどのくらい時間がかかるのですか?

市町村の予算との兼ね合いがあるので一概に答えることはできませんが、②〜⑦を最短で2ヶ月弱で済んだ実績もございます。
なので、提案してから2ヶ月後には補助事業で取り組みを開始することができるのです。意外と簡単でしょう?

なんだかできる気がしてきました!
具体的にどんな所得向上の提案を出せばいいのでしょうか?

実はこれが有り!とはっきりと決まっていないのです。そこが今回の補助事業の新しいところです。
今までは「◯◯をやる時にしか使えない補助事業」が多く、そこに当てはめるように生産者側が動いていました。しかし、今回の補助事業は、「生産者各々のやり方で所得を向上できる補助事業」です。所得を向上できる内容であればほとんど提案可能です。
具体的には次のような提案が予想されます。
・加工品の商品開発
・販路開拓のための営業資料作成
・新規パッケージ作成
・首都圏でのPR費用
・農地整備
・水利施設の整備
・加工施設の整備
・直売所の整備
・高収益生産物の種子購入費、肥料購入費
・商標登録
・商品PRのための動画撮影
・ネットショップの制作
・PRのためのホームページの制作
・1年間の外部コンサルティング
・遊休農地の基盤整備
・英語のホームページ作成(海外への販路開拓)
・ロゴマークの作成
・成分分析
例を挙げきれませんが、「生産物を今より高く売るためにこれが必要!」というものはどんどん提案してみてください。


本当に幅広い補助事業ですね...!
今までの補助事業と違い、生産者が自分で「どうやったら所得向上するかな?」と考えられるのが素晴らしいですね。
以上で質問は終了です。本日はありがとうございました!
「中山間地域所得向上支援事業」多くの方に利用していただき、日本中の中山間地域が元気になって欲しいですね!
「中山間地域所得向上支援事業」の利用を検討する方は株式会社MISO SOUPか、農林水産省にお問い合わせください。
株式会社MISO SOUP お問い合わせ
農林水産省農村振興局地域振興課 03-3501-8359