6次化事例 〜オオノ農園 後編〜

『オオノ農園の成功の秘訣とは?』

  ――――ずばり、6次化の成功の秘訣って、なんだったとお考えですか?

 うーん、秘訣なんて、そんな大層なものは無いと思います。でも、今から6次産業化を始める人に伝えたいのは、6次産業化は絶対に1人じゃできない、ってことですかね。「農作物を作る」「商品開発をする」「販売する」など、考えることはたくさんあります。でも人間は、どんな人でも一つ以上の物事を考えるのは難しいです。分業したり、人の力を借りたりしながら進めなきゃいけません。ウチは夫が生産をやってくれて、私が商品の販売をやり、息子がそれを助けてくれます。保管身も、従業員や知り合いなど色々な人が助けてくれる。

 

――――雄一郎さんもそうお考えですか?

 そうですね、そこでいくと、私たちは運がいいんですよ。千葉県という、大市場東京に近いという利点もありますし、商品も開発してすぐ賞を頂いた。なにより、適切な時に適切なアドバイスをくれる人が現れるんです。

 

 

オオノ農園さんは他の6次産業化を実践している農家さんで聞くような「苦労」みたいなものは少ないみたいでした。また、東京まで1時間で行ける距離にあるというのは確かに一つ優位な点なのだろうと思います。

 

でもお話を伺っていて、「適切なアドバイスをもらえるのは、きちんと『1人じゃ6次産業化ができない』と認識されているからじゃないかな」、と感じました。

 

 【↑オオノ農園のピーナッツ】

 他の農家さんに聞くと、多くの農家さんは「他の人と交流しながら6次化を実践する」というのはなかなかにハードルが高いそうです。しかし大野さんは、6次産業化を実践するようになってから全国にさまざまな知り合いが出来たそうです。展示会などにもどんどん参加するようにしており、バイヤーの知り合いも多く、また自分の地域の道の駅はすべてと言っていいほど顔が効く。

 

 ――――いろいろなお知り合いがいる、というのはすごいですね。多くの人とお知り合いになる秘訣などはあるのですか?

 そういうのは特にはありませんね。でも、世の中って、結局回って行くものだと思うんです。相手からgiveされるのを待っているんじゃ無くて、自分からgiveしていかないと。そうやって人にgiveすれば、きっと巡り巡って誰かがgiveしてくれる。そういうものなんじゃ無いですかね。

 

 

 その言葉を聞いた時、「大野さんたちは、『運が良かった』と語るけど、その『運』を手繰り寄せられるだけの力があったんじゃないかな」とちょっと思いました。

『6次産業化を始める人へのアドバイス』

 ――――他に、6次化を始める人に言っておきたいことはありますか?

 大切なのは「小規模に進めていくこと」だと思います。とりあえず1作って、売れたら2作る。それが売れたら3に、4に、5に。そんな風にしてどんどん規模を拡大していく。はじめから10作るとか、そう言うことではダメですね。リスクが大きすぎて失敗しやすいです。

 

 

 たしかに、小さく初めるというのは他の6次産業化をした方々からも良く聞くお話です。はじめは小さく、そこからだんだん大きくしていくことで、間違いやミスがあった時にも立ち戻りながら、修正することができます。単純なことですが、とても必要な考え方だと思います。

 

 

――――補助金に関してはどのようにお考えですか

 そうですね、補助金をアテにした6次化をすると失敗する、というのは知ってもらいたいです。補助金は「機械を導入するための資金」として活用すべきかな、と思います。

 

 

 大野さんは、補助金はやはり「機械を導入するための資金」としてしか使わなかったとのことです。補助金ありきで6次産業化してしまうと、自立が難しくなって結局失敗してしまう場合が多い、ということはどの6次化の事例でも聞く話です。大野さんも、機械の導入などのタイミングでのみ補助金を活用したのだそうです。

 

・小さく始めるべし 

・補助金ありきの6次産業化はしてはならない

  

 オオノ農園の成功の裏にあったこの2つの教訓は、どんな6次産業化にも当てはまるのではないでしょうか。

『今後の展望は?』

 ―――今後の展望などはありますか?

 やはりHACCPが欲しいですね。あとは、ピーナッツペーストの売れ行きは好調ですが、それに頼り続けようとは考えていません。きちんと新商品を開発したいと考えています。

 

HACCPとは「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という言葉の略語で、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法のこと。

    

 

 HACCPがあれば、厚生労働省が食品安全を示しているという保証になります。6次産業化は自分たちで商品を開発するために衛生管理の面で苦労がある人も多いと聞きます。オオノ農園も今後、衛生管理をより進展させて安全を示すHACCPの獲得を視野に入れているそうです。

 
 より良いもの・より愛される商品を、時代やニーズに合わせて作っていこうとする。こうした姿勢を持って6次化に取り組んでいることが、成功の鍵になったのかもしれません。

 

  オオノ農園の事例は、6次産業化を進める上でも勉強になる要素を多く含んでいるばかりか、それ以外の農家さん、またはどんな人でも通用するような真理を含んでいるといえるのではないでしょうか。

 

6次産業化は1人ではできない」。そう自覚して、多くの人の力を借りながら、自分たちもgiveしながら6次産業化を進めていく。そして、より良いものを希求して努力していく。

 

そういう姿勢こそ、今後の6次産業化に必要なものなのかもしれませんね。

 

【インタビューアー:西岡壱誠